●遣唐使派遣の中止● |
●国際関係の変化● |
◆清涼寺式釈迦如来(せいりょうじしきしゃかにょらいぞう) 京都の清涼寺(せいりょうじ。嵯峨釈迦堂)の本尊は、入宋した奝然(ちょうねん)が台州開元寺にあったインド伝来の釈迦像を、中国人仏師に模刻させてわが国に持ち帰ったもの。像高は160cm。「栴檀瑞像(せんだんずいぞう)」とも称されますが、彫刻に使われた用材は栴檀ではなく、「魏氏桜桃(ぎしおうとう)」とよばれる中国産のサクラ材ということがわかりました。 どことなくガンダーラ仏を彷彿(ほうふつ)とさせる像容です。頭髪は渦巻形(うずまきがた)、目は切れ長で、着衣は両肩にまとっており、見慣れたわが国の仏像とは趣を異にしているからでしょう。 仏像の胎内からは、造像の由来を示す資料をはじめ、26品目250点もの納入品が発見されました。とりわけ注目されたのは、絹製の五臓六腑(ごぞうろっぷ。内臓)が納められていたことでした。世界最古の内臓模型といわれます。本像が「生身仏(しょうじんぶつ。生身の釈迦像)」と見なされたことを示す証拠です。 本像(清涼寺の本尊)を模刻した仏像を、清涼寺式釈迦如来像といいます。オリジナル(開元寺)の模刻(清涼寺)から模刻した、ということになります。清涼寺式釈迦如来像は現在、日本各地に百体ほど存在することが知られています。ただし、清涼寺の本尊を「直接模刻したと確認されるのは奈良西大寺の本尊のみ」(『平凡社大百科事典・第8巻』(1985年)、「清涼寺式釈迦(光森正士氏執筆)」の項目)だそうです。 |